前に書いたエントリ「学力低下が能力低下をもたらす理由」のコメントで、私と反対のことを書いているサイトを教えて頂いたので、そちらを拝読した結果をとりあえず書きたいと思います。連絡して頂いたサイトはこちらです。

[学校は人的資本を形成するのか? (1)教育の経済学]


論点から整理したいと思います。まず、教育の目的を経済学の観点から考えると、2つの理論があります。1つ目が「人的資本論」です。これは教育を受け、知識や技術を身につけることによって、能力が高くなるという理論です。私が今まで主張してきたことはこの理論に基づいています。もう1つが「シグナリング理論」というものです。これは教育の目的とは能力を伸ばすことではなく、偏差値の高い大学に入ることによって自分の有能さ、勤勉さを証明するためにあるという理論です。

こちらのサイトでは「シグナリング理論」の方が、外国ではともかく、少なくとも日本の現状を適切に表していると結論づけています。すべては理解していませんが、私が読み、理解している限りでは特におかしな箇所はありませんでした。確かに日本では「シグナリング理論」の方が有効なのかも知れません。

ですが2点ほど疑問が残ります。まず1つ目は、仮にこの説が正しいとしてもそれは日本での状況であって、海外でもそうであるかどうかはわからない、ということです。つまり高等教育そのものが労働者育成に不向きなのではなく、単に日本の大学に問題がある可能性があるということです。

2つ目は、海外の高等教育も労働者育成に不向きであるとしても、それは初等中等教育の反例にはならないということです。つまり高等教育は労働力向上という観点からは過剰品質であるだけであって、役には立たないかもしれないが、初等中等教育の基礎教育は労働者として必要である可能性はあるということです。

とはいえ、これだけでは有効な反証になるとは私は思いません。ですから結論を言えば、すべてに納得してはいないものの、有効な反証方法が今の私には無い以上、認めざると得ないということです。但し、何かシグナリング理論に対する新しい反例を挙げることができるようになれば、いつでも前言を撤回する可能性はあります。

中学高校と勉強していない私からすれば、シグナリング理論が現状に合っている方が嬉しくはあります。ですが、少なくとも私が今まで見てきた限りではそうではないような気がしています。教育について勉強する機会があればまたそれについては書きたいと思います。


追記 上の[学校は人的資本を形成するのか? (1)教育の経済学]の管理人齋藤さんからリンクしていただきました。http://keijisaito.info/sitemap/article.htm ありがとうございます。

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